ジョン爺は年金暮らしの貧乏暮らし
今日もよぼよぼの原付:チャーリーに乗ってお出かけ。
坂道を登り、頂上まで良くとエンジンを切る。
クラッチを踏んだまま、ノンエンジンブレーキでスーッと坂を下る。
そういえば幼いころ、幼稚園バスの運転手先生が同じようなことやってたっけ。
と思い出すジョン爺
平地でだけど、加速してエンジン切ってスーッて走るやつ。
園児の間では人気だった。幼きジョン爺は「宇宙船みたい」とそうつぶやいてた。
宇宙船なんて乗ったことないのに。
もう半世紀以上も前のことを思い出しながら坂をスーっと下る。
秋の風がすごく気持ちがよい。エンジンの音はしないので風の音だけ。
秋風に包まれるという感じ。
ただ、秋の風の中を走っていると切なくなることがある。
なんだかんだ思い出すノスタルジック。
まだ坂のない平らな町に住んでいたころの話だ。
中学生だったジョン爺は。。。
ストーカーをしていた。背後霊!背後霊!
いや、前方霊だった日もあった。
どういうことかというと
家の遠いジョン爺と同じ方向に帰る娘がいて。
そこそこ仲のよい娘で、かわいい子だった。
帰り道にその娘としゃべるのが楽しみであった。
若かりし、絶賛中二病というか中二のジョン爺の楽しみであった。
部活が終わると中二ジョン爺は(ドラゴンボールのように)気を探り、
あの子が自分より早く出たのか、あるいはまだ校内に残っているのかを
感じる。フィーリングってやつだ。
そしてもう先に出たようだったら早歩きで帰る。
追いつけ!追いつけ!背後霊!
まだ校内に残っているようだったら
正門で待って・・・
なんてことは恥ずかしくてできないからわざとゆっくり帰る。
何度も靴ヒモ結んだりして時間稼ぎしながらゆっくり帰る。前方霊!
かわいいやつめ。
そんな中二ジョン爺の涙ぐましい努力も実り、ちょくちょく一緒に帰ってた。
自然に囲まれた住宅地・畑・住宅地が続く通学路。
虫の鳴き声が聞こえる中、何度も一緒に帰った。
いい感じになった。
その分なかなか言い出せなくって。
気がつけばある日その子は他の男子と手を繋いで寄り添って下校していた。
いくじなしめ。お前がもたもたしてるから。
中二ジョン爺に心の中でダメ出しするジョン爺。
その顔は穏やかさと寂しさをたたえながらニヤついている。
そうこうしているうちにいつもの港についた。
港を歩きながら、歌を唄う者がいたら足を止めて聞き
歌がやめば歩き出し、港のレストランが片付けをしているのであろう、
食器を洗う、カチャカチャという音を聞きながら
波の音を聞きながら
そして今日は秋の風に吹かれながら。
風流ごっこをする。
港のベンチに腰掛けていると
脚の綺麗な女性が通りがかった。
うほっ!と思ってその女性の後をストーキングすることにした。風流なんてどうでもいい!
美脚美脚!脚が綺麗さ!
ルンルン気分でストーキングしていると
ジョン爺の横を黒い人影がものすごいスピードで追い抜いていった。
すると次の瞬間
「だ~れだ?」
「んもう!シンイチさんったら~」
そう、カレシというやつが後ろからその美脚女子に眼隠しして「だ~れだ?」とか
お寒いことをやりやがった死ねばイイのに!
しかも女の方もブサイクやった!ファッ糞!
ひがむという事をエネルギーとして生きてきたジョン爺
こみ上げる殺気を抑えつつカップルを追い越し岸の端のほうへ
海のほうへ向かって仁王立ち
そして
じょぼぼぼぼ・・・
大海原に向かって立小便。
音に気づくカップル
いい雰囲気も台無しである。
ざまあ見ろ!
立ちションするジョン爺の鼻歌が聞こえる。
脱線の「美脚・顔面ブサイク・Bitch」